令和5年5月19日

Ⅰ.はじめに

 男女共同参画社会基本法(平成11年6月23日法律第78号)は、21世紀の我が国社会を決定する最重要課題として、男女共同参画社会の実現を位置付けた。政府の男女共同参画局は、「2030年代には、誰もが性別を意識することなく活躍でき、指導的地位にある人々の性別に偏りがないような社会となることを目指す。そのための通過点として、2020年代の可能な限り早期に指導的地位に占める女性の割合が30%程度となるよう目指して取組を進める。」ことを第5次男女共同参画基本計画として決定した(令和2年12月25日閣議決定)。第6期科学技術・イノベーション基本計画(令和3年3月26日閣議決定)では、研究のダイバーシティの確保やジェンダード・イノベーション創出に向け、女性研究者の新規採用割合に関する目標値(2025年度までに、理学系20%、工学系15%、農学系30%、医学・歯学・薬学系合わせて30%、人文科学系45%、社会科学系30%))を速やかに達成すべく、国は、関連する取組について、産学官の総力を結集して総合的に推進するとしている。  
 長岡技術科学大学は、「社会の変化を先取りする“技学”を創成し、未来社会で持続的に貢献する実践的・創造的能力と奉仕の志を備えた指導的技術者を養成すること」を理念としている。その理念のもと、本学の女性教職員や女子学生・修了生が真に活躍できる社会を実現することも、本学が行うべき責務であると言える。そこで、平成21年度に男女共同参画推進委員会を設置し、平成22年に男女共同参画推進に関する方針をまとめた。同年、長岡技術科学大学次世代育成支援行動計画(2期)を策定し、平成28年に次世代育成支援・女性活躍推進計画に改定、公表、平成30年には男女共同参画推進室を設置し、同年5月には、工学系大学として国内で初めてユネスコチェアプログラムに認定され、国際的な目標SDGsのジェンダー平等の達成についても全学的に取組み、ものづくり地方都市における工学系大学の強みを活かしながら、地域との連携を重視した取組みを継続してきた。しかし、令和5年4月1日現在、本学の女性教員比率は、14.7%(女性の教授2.8%、准教授18.9%、講師12.5%、助教以下15.4%)、女性管理職は0% という状況である。一方、女子学部生比率は12.6%、女子大学院生比率は12.9%で、修士課程11.2%、博士課程21.4%、5年一貫性博士課程における女子大学院生比率は20.0%である。
 このような現状を打開するため、様々な取組を実施していくことが必要不可欠であり、未来の女性技術者・研究者の活躍を目指すには、男女を問わず、学業・仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)を実現することが重要である。具体的な目標と推進項目を明示して計画的に推進していくため、ここに「長岡技術科学大学男女共同参画推進基本計画(以下「基本計画」という。)」(令和5年)を制定する。

Ⅱ.目標

  1. 少子高齢化時代の技術者・研究者養成に向けて学生ならびに教職員の意識改革を図り、学生の年齢や性別、国籍を問わず、平等に大学生活を送るための支援体制を整備し、女子学生の増加、並びに裾野の拡大に取り組む。
  2. 教職員の年齢や性別、国籍を問わず、平等に働くための意識改革を図り、ワーク・ライフ・バランスの適切化を目指した支援体制の整備を行う。併せて所定外労働時間の削減、年次有給休暇の取得促進に取り組むことに加えて、出産・育児、看護・介護等のライフイベントにおける休暇・休業制度の周知・取得促進に努める。
  3. 2028年3月までに女性教員の割合を13%以上となるよう積極的に女性を採用し、管理職に占める女性職員数を対第3期中期目標期間比2倍以上となるよう積極的に女性を登用する。

Ⅲ.推進項目

女性技術者・研究者の拡充のための取り組み

  1. 女子学生が技術者・研究者への進路選択を拡大・向上するための取り組みを行う。
  2. 女子児童・生徒の理工系への関心を高める活動を行う。
  3. 地域社会や他機関、産業界と連携し、女性技術者・研究者が活躍する社会を実現するための取り組みを行う。
  4. 男女共同参画の推進を踏まえた教職員人事を推進する。

平等な学生生活のための取り組み

  1. 学生の年齢や性別、国籍を問わず平等に大学生活を送るための支援を行う。
  2. 出産・育児等で困難を抱える大学生、大学院生に情報提供等の支援を行う。

教職員の職場環境の向上のための取り組み

  1. 教職員の年齢や性別、国籍を問わず、平等に働くための意識改革を図り、そのための支援体制の整備を行う。
  2. 教職員のライフイベントに対して柔軟な対応ができるように、ワーク・ライフ・バランスの適切化を目指した支援体制や制度を準備し、そのための意識改革を促す。

取り組みの可視化

 多様な性に配慮しつつ、学内の調査・分析・統計等の情報について男女別データの的確な把握、収集および必要に応じた公開に努める。

Ⅳ.推進体制

 本基本計画の実施に当たっては、男女共同参画推進室が中心となって、具体的な事業を推進する。

Ⅴ.計画期間

 基本計画は、中期目標・中期計画期間に準じる。